深海魚

暗くて冷たい方が落ち着くというお話。

ソールライター展にいってきました。
ニューヨークの写真家です。
日本でも何度も個展が開かれているから、
ご存じの方も多いでしょう。

数年前に開かれたときにも行きましたが、
今回は大きな衝撃を受けました。
きっと、自分が写真を撮るようになったからでしょう。
以前はただ「いいな」と感じていたものが、
今回は身体の中に迫ってくるような感覚を受けました。

それからずっと考えています。
ソールライターの写真はなぜこんなにもいいのだろう。
構図は?情報量は?色使いは?
様々なことを考えても答えが出ず、
仮説を立てて実行しても安っぽいものが出来上がるだけ。
そんなことを繰り返して思い悩んでいます。

それがとても楽しいです。

僕は深海魚よりの人間なので、
真夏のビーチではしゃぐより、
暗くて深い場所の方が呼吸がしやすく感じます。

大きなものに衝撃を受けて、
一人でいつまでも悩んでいる。
光の見えないそんな状態に心地よさを覚えます。

今回もカメラの練習をしたからこんな思いを味わえました。
だったらもっと勉強しよう、という気持ちになります。
暗い情熱が僕には合っていますね。

そして、同じような人を好む傾向もあります。
頭の中までスケルトンになっているような、
深海で独自の進化を遂げたような人。
たまに出会うと嬉しいですね。
いっとき情報交換してまた暗い海に消えていく。
そんな交差が気持ちいいです。

真っ赤な太陽と白い砂浜にあこがれる気持ちもあります。
けど急に浮上すると浮袋が出てしまうから、
これからも自分の場所を大切に、
ゆっくり浮かんだり沈んだりしていきます。

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